龍宮夜会 6月25日(金)、26日(土)19:00~
「百年に一度女となる桜」
散華香:友代香
舞:Chika Utsunomiya
映像:山田のぶ
曲:作詞 柴田宗善 作曲・唄 しらいみちよ
照明 竹原均
協力:若杉多津子
◆ 6月25日(金)、26日(土)
◆ 開場18:30~ 開演19:00 (舞とお茶で約1時間)
◆ 参加費:3,800円 ※人数制限あります。
◆ご予約:teadance@machiyajuku.com または☎ 076-252-3176
ご希望の日にちをお知らせください。
・・・・・
町屋塾の小さなイベント「龍宮夜会」に参加してきました。
最初に迎えてくれるのが宇都宮千佳さんによる「ウズメの舞」。
この舞は、千佳さんが地元宇多須神社に毎年奉納している踊りを、町屋塾用にアレンジしたものだそうです。
神社で見る神楽舞とはまた違う、オリジナルで生命力を感じる、神様の踊り。
表現者であり、祈りの人である千佳さんは、境界をつなぐ存在なのだと思いました。
それは神性と俗性、この世と異界、水と岸辺、人と人ならざるもの…などなど。
序の舞が終わると、新しい試み、香師の友代香さんによる香りのひとときが始まります。
この日のために友代香さんが調合した、桜の花を思わせる、ほのかで柔らかな甘い香り。
薄闇の空間で嗅覚が研ぎ澄まされ、見終わった舞の余韻とともに、心の奥底に沈んでいた記憶や思いが浮かんできます。
それらが溶け合うように意識の表面を漂うのに任せ、次のパフォーマンスを待ちます。
そして、宴はメインのパフォーマンス「百年に一度女となる桜」に入ります。
百年に一度、人の姿に化身する桜の精の物語。
物語を紡ぐのは、しらいみちよさんの歌声に乗せ、宇都宮千佳さんと、千佳さんに命を吹き込まれたかのように自在に動く人形「やまと」の舞。
ゆらめく蝋燭の明かりと、刻一刻と形を変化させながら舞い散る花の映像を背に、二人(にしか見えない)のシルエットが浮かび上がり、影を残す。
寄り添い、重なり、離れ、また引き寄せ合うその姿は、まるで一対の道行を垣間見るようで、切なくも美しい。
もしも自分が人の一生よりも長い間、ただその場にたたずんで、毎年咲いては散ってを繰り返す一本の桜の木だったら…。
そして、その果てしない年月の末にたった一日、人としての命を与えられたとしたなら…。
まだ鼻孔に残る桜の香りとともに、一瞬の中にある永遠を反芻してみます。
それは、光と影と香りと歌と舞が心の中に溶けこんで、思いがけず心地よい時間でした。
イベントの最後は、お抹茶を一服。
幻想的なパフォーマンスにぼんやり浸った頭を、ほろ苦いお茶の味と香りがすっきりと覚醒させてくれます。
一夜の夢のような、「龍宮夜会」。
これがレギュラーイベントとして、町屋塾で定期的に開催されるかもしれないとのこと。
時節柄制約は多いけど、ぜひ実現してほしいです。
こんな時期だからこそ、五感を開放して、自分と自分以外の境界が触れるような体験が、
内向きな心に効くと思うのです。
文 中北久美子
Comments