毎日暑い8月でしたが、この日ひとときの涼を楽しめました。
ご参加くださった皆様、吉村先生、圭子さんありがとうございました。
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流れ落ちる『滝』の清水が岸辺の名もなき山野草を洗い、海へ。
塩田の塩桶を模した建水とお棗は、縄を巻いた上に漆を塗り込めた輪島塗。
能登の海の景色。
お茶入れは舶来の、銘『帰帆』。旅を終えて帰港する船の意。
お仕覆は更紗地。東南アジアにルーツを持つ、かの時代の最先端。
どちらも遠い昔に海を越えてやって来た渡来ものの末裔。
蓋置はサザエの意匠。
風炉先屏風は網代。
平水差しの正面に波濤のような模様。
磯の風景を連想させる点前座の設え。
主菓子は吉はしの葛饅頭、銘は「深山むらさき」。
お干菓子はカモメを描いた煎餅と流水を象った落雁を、西瓜の柄が大きく描かれた菓子器に乗せて。
夏の水の巡りが、遠景・近景取り混ぜてお茶席に再現される中で、ただ一点、本江和直斎さん作の『月鈴子(げつれいし)』。鈴虫の別名を銘に持つお茶杓が、まだ目にはさやかに見えない秋の音を感じさせてくれる。
夏の終わりが始まる瞬間の幾層もの景色を、この日この茶室に集まった人たちと、一服の茶とともに共有できる幸せ。
お茶会覚え書き 中北久美子
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